サイゼリヤの間違い探しは人を殺せる
学校でこんな本を見つけた
一見するとただの幼児向けの間違い探し絵本のように見える しかし中身は史上最悪の間違い探しと言われた、サイゼリヤのキッズメニューに載っているもの あからさまに難易度が高く幼児が解けるような難易度の本ではない
つまりこれは幼児向けと見せかけた成年向け雑誌、すなわちエロ本と考えても論理的には間違っていないのだ エロ本を見つけたら読んでしまうのは男の性、お友達たちと一緒に読むことにした
まず1、2ページ目を見てみる
どこにでもありそうな見開きの間違い探し イタリアの地図がメインのものだ その内容だけが鬼のように難しい もう印刷の乱れと言われても疑わない程度の細かいものまである
しかしここは男子高校生の観察力を活かして5分程度で全て見つけた
なんだよ天下のサイゼリヤと言えどこんなもんか笑 みたいな空気が漂う中、3、4ページに進む
その3.4ページが地獄だった
｢10個間違いがあるよ！見つけてみてね！｣と書いてあるのだがどう考えても9個しかない 何なん？最終的に｢10個間違いがあるよ！｣の文章が間違っているんじゃないか、という間違い探しの根本的な否定に陥りかけたが、何とか10個目を見つけることが出来た 時間、かかること30分
30分？30分って、何？時間かかりすぎじゃない？前の、6倍かかってない？まだ、2問目なんだが
基本的に間違い探しやクイズというのはあとに行けば行くほど難しいものと相場が決まっている 1問目に5分、2問目に30分なら、このまま行けば3問目には180分だ この本にはおよそ10問程度の間違い探しが載っている だとすると俺たちは10問目には50388480分かかる計算になる
50388480分？
これは日数にして34992日かかり、年数にして約96年分に相当する
96年？10個の間違いを見つけるのに96年？
なんという
なんという難易度だ
17歳の俺が今から始めて113歳までかかる？
恐ろしい
これはもう間違い探しの領域を超えている
形容するなら
｢呪い｣だ
エロ本だと思って開いた本は、開けてみれば、それは想像していたものと違って、人を｢呪う｣本だったのだ
サイゼリヤの間違い探しに囚われた者達は逃れることが出来ない 間違いを10個見つけるまでは食事も 睡眠も 死ぬことすら許されない
10個間違いを見つけるまで、間違い探しをし続ける、いつ終わるかわからない拷問にかけられているかのような苦しみ それは死の持つそれを遥かに超越している 今この瞬間死ねるならどんなに楽だろう そんな思いで無限に続くような一分を、一秒を、一瞬を、過ごす、
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何年が、経っただろうか
一瞬とも、無限とも思えるような時間を過ごしていた
体は動かない
ほとんど同じに見える2つの絵を見つめるためだけに両の目が動く
あと1つ
あと1つの間違いだけだ
ただひたすらに一心不乱に
探して探して探し続ける
だが見つからない
おかしい
もう、探し尽くしたのだ
何十年、何百年、いや何千年探したか定かではない
それなのに、間違いは存在しない
再びおかしい、と思うと同時にあるひとつの可能性に気づく
間違いなど、1つも存在していなかった
その考えが頭に浮かんだ瞬間、今までの光景がフラッシュバックする
｢Menu｣が｢Menn｣になっている所が｢違う｣
牛の乳首の長さが若干｢違う｣
俺達が注目していたのは2つの事象の｢違い｣のみ その｢違い｣が存在するか否か、そんなものは些細な問題にすぎない
一番大事なのは｢違い｣を見つけた上でその｢違い｣を容認できるか、ということだ メニューの綴りを誤字っても良い、乳首が長い牛がいても多少気持ち悪いがまあ良い。 そういう心構えで全てを受け入れることが一番大事なのだ
この世に｢間違い｣なんてものは無い、ただ事象の間に｢違い｣が存在するだけなのだ 全ての存在は正しく、間違っているものなど存在しない
だから、間違いなんて存在しないんだ！
全てのものは正しく、肯定されるべきなんだ！
さあ、皆の｢違い｣を慈しみ、尊重しよう！
こんな間違い探しなんて放り出してしまおう！
俺たちは自由だ！自由なんだ！
服を脱ぎ、全裸で街を走り出した！
悲鳴が上がる！
警察が追いかけてくる！
でも俺達は走り続ける！
夕焼けが、俺達の背中を照らしている_______
などとくだらないことを書いている間に一番後ろのページに答えが載っているのを発見しました これで本来96年かかる所を2分で解決しました 神ゲーですね
↓一応貼っときますけど買うのはオススメしません
